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アンテナ22」を中止してまで特別放映された堀江貴文逮捕の騒動を見ていて、とても疲れた。

比べてみると面白い。朝まで社長と呼ばれていた人間が、夜は容疑者と呼ばれているというのはとても不思議な気持ちだ。マスメディアはそういう心理にもっと敏感になってほしい。

まあそんなことはどうでもよくて、会社をやめると言い出すと必ず誰もが
「何がつらかったの?」
「不満があるなら言ってみな」
「ちょっと甘いんじゃないの」
という意見から入る。会社をやめる人は、会社に対してイヤなところがあって当然だ、とみんな思っているらしい。でも少なくとも自分は違う。いろいろな種類の歯車がいろんなところでかみ合っていて、自分からは見えないところにある歯車がことりと動いたことによってすごくタイムラグを発生したあとに、今の会社をやめることになった。だから別に会社に不満があるからやめるわけではない。でも他人はそういうわかりやすい構図として捉えたがる。そういう人たちにいちいち説明するのは疲れることだけれども、誤解されるよりはマシだし指摘するという行為自体は嫌いではないので、一応説明している。

堀江さんが逮捕されて、世の中の人は今回の騒動を「ほれ見たことか、拝金主義の成り果てが」というわかりやすいフレームの中に収めてしまった。そういうフレームがあるとたとえば、フランスの新聞が堀江氏の逮捕を報道しているということに対して、「マネーゲーマーはフランスでもたたかれている」というような意見を持つようだ。一部の海外メディアは本当にそういう記事を書いている。でもおそらく大半の記事は、「だらしない東証システムを破壊した人間が逮捕された」という風にしか見ていないと思う。

真実はいつもシンプル。