ジャニー少年隊

ジャニー少年隊

奥様、朗報ですわよ→

今日も雨散る新宿二丁目、地下から男の声がする。相合傘に肩ぶつければ、人は二人を噂する。ゲイだのホモだのタテだのネコだの、知ったふりして見ぬふり聞かぬふり。触らぬ神にタタリなしとはまさにこの路地裏のためにあるようなセリフだ―― いよっ!!

そんなわけで今日カメラに収めたのは「ジャニー少年隊」。ノンケの男の子集まれ!、Boys個室マッサージアルバイト募集、とある。職場のすぐ横でどんな世界が広がっているのか興味はつきないが、ジャニー少年隊とはまた随分なネーミングである。ちなみに、ノンケという言葉をこの看板で始めて知った。看板の裏にはいつもヒヨコの籠があって、ピヨピヨうるさく泣いているくせに人が近づくと泣き止む。何かのトラップか???早朝と夜はヒヨコは跡形もなく消えている。アナクロニズムな街である。

実はいろいろ書いたのだがうっかりマウスジェスチャーが誤作動してしまい内容が消えてしまったので、そしてその内容はどうでもいいことなので、その中で一番古い出来事だけを書こう。

先々週の土曜日、漫画喫茶から這い出て一仕事終え、新しい住まいを探しに幡ヶ谷まで行った帰りにキルギス人をナンパして電車男よろしくソフトなデートをしてきた。日本人ぽいが幡ヶ谷に似合わない体つきで、英語でいきなり道を聞かれ、なぜかそのまま秋葉原まで行ってしまった。日本には3週間ほどの滞在で日本語もろくにわからず、独りでふらふら歩いていると絶対に道に迷う、と不安そうなその24歳の女の子をほっとくわけにもいかず、且つ自分が度々旅先で受けた海外の人々の無償の温情にお返しをするつもりで、けなげにも「世界で一番電気製品が安い」といわれている秋葉原で(グローバル経済が発展した21世紀ではこれはほとんど嘘に近く、どんな途上国でも最新の電化製品は先進国のそれとほぼ同一価格だ)格安デジカメを買おうというプランを手助けするために一肌脱いだ、というのは2割ぐらい嘘で、週明けに会社の営業部長から「そのまま上野あたりに連れ込めばあんなことやこんなことができたのにもったいない」というアドバイス(?)はちょっとばかり後悔したし、「ヤローだったら連れまわさなかったでしょ」というCOOの指摘も鋭い。くれぐれも間違いのないように記しておけば、晩飯を食べて帰ってきただけだ。晩飯以上でも以下でもない。

そんなわけで最近は「手相を勉強しているのですが・・・」といって寄ってくる気弱そうな人々がなぜ手相を勉強するのか、手相検定に合格すると給料のベースアップがあったりするのだろうか、という疑問を抱えつついつかは俺の世にも珍しい4本指の右手を差し出して手相を見てもらおうと考えている。この間はデータセンターの静脈認証登録で右手をかざしたら、機械はまるで認識しなくてしかもそのセンサーは見事なまでに右手用に作られていたので、こんな世の中はどうかしていると思う。アメリカ入国の際の指紋登録もそうだが、ハイテクになればなるほどマイノリティを意識しないシステムが導入されていきそうで恐ろしい。そういう意味では、コンノートプレイス(東京で言えば丸の内みたいなところだ)に日常的にハンセン氏病か何かで手足を失ったルンペンが住んでいるインドの方がはるかに健全なのだろう。マジョリティがマイノリティに追放された瞬間に絶望を感じるのは世の常だが、その絶望は少しでも軽減されるほうがいいに決まっている。
エントロピーの抑制だけが人類の向かうべきベクトル(=絶対価値)ではないのだ。むしろエントロピーの増幅こそ人類の快楽に直結している。

そんなわけで、明日もアールエフワンでサラダを買おうかと思います。