Amsterdam Wasted

umitanuki2006-07-22

最近はDVDばかり見ている。

Ocean's elevenを中古1000円で買ってから少しずつDVDを見るようになり、Ocean's Twelve、Fight Clubとブラピものを見て、City of God と Amsterdam Wastedを見た。


・City of God
リオの映画。スラムの少年たちが人を殺しまくる映画。特に、ジャケットにもなっている悪党のリトル・ゼがやばい。小学生ぐらいの年齢から銃で人を撃ちまくる、正当防衛とか金のためにとかではなく、人を撃つことが楽しくてたまらない、という表情。キャストの少年は、あの表情をどこで覚えたのだろう。死ぬほど楽しそう、それゆえに、見ている者の背筋が凍りそうな笑顔。

5分に2,3人のペースで次々に人が死んでいく。それも、ゴッドファーザーみたいなおっさんたちだったり、スーパーマンみたいに米粒みたいなエキストラだったりすればぜんぜん問題はないのだが、下は5歳ぐらいから上で20未満のわりと中心的なキャラクターたちが真っ赤な血を流して、それがどうした、話を次にすすめようぜ、という周囲の反応。ストーリー全体の語り手である主人公は銃も持っていないし、賢くて臆病で童貞だが、やはりこの連続的な殺戮についてはほとんど興味がないという感じで、淡々と語っていく。

映像のことはよくわからないが、冒頭のシーンだけで釘付けになる。刃物を研ぐ鋭い音、人々の熱気、サンバのリズム、鶏の長い首、絞められて吹き出る鮮血、逃げ出す鶏、追いかける少年団、銃声、低いカメラアングル、何かが始まろうとしている感じ、そして全てが終わろうとしている感じがよく伝わってくる。

あんな街に1週間も滞在していたのかと思うと卒倒しそうだが、もちろんスラムはリオのほんの一部。だがまた事実でもある。


・Amsterdam Wasted
あらゆるドラッグとセックスと暴力とほんの少しの青春の映像。話自体はとても単純だが、映像がおかしくて観客の瞳孔を全開にする映画。

冒頭から色がおかしい。そう、ちょうどこんな感じで色相がずれていて、昔春先に昼寝して変な時間に起きたときみたいに、明かりがまぶしい。照明とか反射の部分の輝度が異様に高くて、ものの輪郭がぼやけてしまった感じ。
デジタルカメラの映像を編集・加工してフィルムに落としているらしいけど、色のずれ具合といい、カメラのずれ具合といい、かなり気持ち悪くなる。ほとんどカメラが固定されるシーンがなくて、ふらふら、ふらふらしながらカラフルでまぶしいアムステルダムと友達が映し出されている。

ところがこの映画はラスベガスをやっつけろとは違って、純情と青春が混じっているところが美味しい。すったもんだの末にハッピーエンドを迎えるころには、色も、カメラの動きも正常に戻っている。いつから戻ったかはわからないし、もしかしたら慣れてしまっただけなのかもしれない。だから、いい映画だと思う。

ドラッグはもう自分のものではないな、ということを思う。それは年をとったとかそういうことではなくて、純粋に今の自分には必要がないのだと、この映像を客観的に観る自分に気づく。
ちなみに、この映画の講評とかキャッチを見ると、「映像を通してドラッグ体験を」みたいなことを書いてあるが、それは嘘だ。ドラッグ体験はドラッグを体験しないとわからないし、映像でも音でも文字でも感触でも伝わらない。五感以外の感覚だし、人によっても全く違うからだ。だから、ラスベガスみたいにデフォルメするか、この映画みたいに恋愛青春物語のおまけにしなければ、映像としては陳腐になる。


やっぱりエントロピーの増大にこそ人間の快楽はあるのだということが、この2作品を見てもわかります。
そんなわけで、もっとディープなDVDをたくさん探そうと思います。