コーヒー豆とフェアトレードと市場経済

なんていうタイトルにすると、すごくむつかしそう。

フェアトレードという言葉自体は、大学のときに聞いたことはあったけど、今日スタバにいったらフェアトレードのパンフレットがあったので一読。
で、今ネットで少しフェアトレードについて調べたのだけど、大事なことは2つだけね。

  • リスクの委譲
  • 中間業者の排除

つまり、フェアトレードによって解決すべき問題、というか現状の途上国生産者が抱える問題は、

  • 生産物の市場価格変動によるリスク
  • 強者による一方的な価格決定メカニズム

かなと思う。

あいかわらず途上国とか貧困というテーマのまわりには「格差をなくせ」とか「途上国に愛の手を」みたいな至極文系的な意見が目立ってしょうがないのだけど、フェアトレードを成立させるためには一つめの、「リスクの委譲」についてよく考える必要がありそう。

コーヒー豆は市場で売買されているのだから、需要供給曲線によって価格決定が行われているはず。であれば、コーヒー豆を作りすぎたから売買価格が下落するのは当然の理。ただし、コーヒー農場のようないわゆる弱者にとって、その価格変動リスクをとれっていうのはあまりにも酷な話でないかい?というのがフェアトレードの背景かも。とくに、コーヒー自体の質や量を意図的に変えたわけでもないのに(≒生産物の価値が変わったわけでもないのに)市場の思惑とやらで勝手に売買価格(=収入)が決定されるのは、生産者から見れば「ふざけんなコラ」って話なわけで。このへんは、ベンチャー企業のIPOにも似たようなものがありますね。そんなリスク、前もってヘッジしなさいというのは先進国の視点。リスクをヘッジするためには、有る程度の規模と頭脳と余力がないとできません。

なので、スターバックスのような大企業が、多数の農場が抱える(大企業にとっては)微小なリスクをかき集めて引き受けましょう、というのがフェアトレードかな、と思いました。でもこれだけじゃ大企業がボランティアしてるだけ。当然大企業はかき集めたリスクを分散させる手段をもっていなければフェアトレードなんてやってられないでしょう。ということで、フェアトレードを考えるときは証券化を含めた金融の手法が重要になるはずなのだけど、こっから先の話はネットではあんまり見つからないみたい。

二つ目は、中間業者の排除。中間業者が非力な農場を搾取するから公正価格にならないんだ、って考えも一理あると思われ。確かに中間業者はそれを仕事にしているので、コーヒーに関してプロでも流通や市場について素人な農場の人たちが搾取されている感は否めない。でも、昔から中間業者というのは一方で搾取というイメージの悪であり、他方で市場の流動性を高める、いわゆるスペキュレーターの役割を果たしているわけで。ただし物流や金融の技術が発達したおかげで前世紀ほどにはスペキュレーターの存在そのものの必要がなくなったのも確かで、ここは少しずつ是正していくべきだなと。いきなりやると今度はこの人たちが困ったことになるので。

ただ、こういった中間業者の不要感がなんとなく広がっているのは、ひとえに技術の進歩なのだなあと思います。お金とリスクの流れなんて情報の流れそのものなので、ITを支える人としても、なんとかせにゃあかんなあ、と思いつつ上記の議論そのものが素人くさい気もする今日この頃。

というわけで偉い人の突っ込みお待ちしております。というか大学で専門にしていた人、詳しいこと教えて。