ひたすらいい仕事をするしかない

昨日、「おもてなしの経営学」について書きました。調べれば調べるほど中島さんという人物はソフトウェアエンジニアとしてのある意味理想像ですね。

たくさん書き忘れたことがあって、そのうちの一つは「天を向いて仕事をする」ということ。これは同書の中で古川氏との対談中に出てくる言葉ですが、要するに「お客様の満足度のために仕事をする」という意味合いです。対比として、「上を向いて仕事をする」人を挙げています。上司の顔色を伺って仕事をする、すなわち上を向いて仕事をする人は、長くは続かない。顧客、エンドユーザ、最終的にモノを使う人、そういった人々が満足するような仕事をするのが天を向いて仕事をすることだと。これはいい言葉だなと思います。

先輩のブログから、

自分の仕事を社内的な判断基準(→プロジェクト貢献度)だけで考えるのではなく、自分の仕事を対顧客的な判断基準(→顧客貢献度)で考えられなければいけないと思います。

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拝金主義的にならず、しっかりとものづくりをすること。お金が儲かるのは目的ではなく結果である事。人々の生活を変えるようなものを作るからこそ、お金が入るのだということ。良いものを作る事が、世界に通用する事にもつながるし、時代を超えた価値を生み出すのだということ。

ぐうの音も出ないってやつです。自分は小市民ですから、たまには「大金をしこたま稼いでアブダビの超近代的高層マンションの最上階のプール付きペントハウスを買い占めてグラビアアイドルのプライベート運動会をやる」みたいなことを妄想するわけですが、そんなこと考えている暇があったら、いいもの作って世に出せってことですね。

ここで挙げたお三方はそれぞれ形態こそ違えど、曲がりなりにも自分の事業を持っている人たち。事業をやるっていうのはそれほどまでにしんどいことなんだなあってことが、最近少しわかってきました。

今の自分の立場はそれこそ経営者ではないけれども、小さい会社なので後ろがいないんです。今までは上司とか先輩がいて、うまくいかないときはどこかで彼らのせいにできた。最終的な責任は自分にはないという心理的逃げ場があった。ところがこの規模で中心となって仕事を回していると、自分の後ろには誰もいない、ってことに気づくのです。去年ぐらいからそのことに気づいて、"Nobody helps me."が自分の合い言葉でしたが、今は少し違います。"I am the man."ってところでしょうか。何かとてつもないことっていうのは自分以外の誰か、スーパーマンみたいなヒーローがどこかでやっているのだろうと思っていたのですが、そんなことは決してなくて、みんな自分なりに工夫をしながら少しずついい仕事を積み重ねているだけなんだなってことです。


それじゃ清貧に安んずるってことかというとそういうわけでもなさそうです。何より、事業主というのは食って又食わせていかなければならない。お金の話をしない経営者の下では働きたくないし、何よりいいものを食わなければいい仕事はできません。仕事?お金?名誉?それらは互いに相反するものでもなくて、ただバランスをとっていかなきゃいけないものなのでしょう。この辺りは自分にもまだ実感がありません。蛇足でした。