コンピュータリソースのコモディティ化

umitanuki2008-06-09

シリコンバレーで投資事業を行っているDaveさんのブログより。

Cloud ComputingのPlatform事業をよくUtility関連事業(電力事業やガス事業、電話事業等の半公益事業)と比較する論調が散見されるが、これら事業には決定的な相違点があると思う。それは、例えば電力事業が取り扱うのが「電気」そのものであるのに対して、コンピュータが取り扱うのは単なるビット列のみにあらず、その写像としてコンピュータ上の再現されるビジネスプロセスそのものである、という点だ。

Dave's Blog: Infinity Ventures Summit 初日 in 札幌 ~ Cloud ComputingとWeb Service

否。

Cloud Computingの行き先は、コンピュータリソースのコモディティ化だと信じている。

一応一般向けに解説しておくと、今、Googleなどの巨大企業はコンピュータをたくさん集めて、コンピュータの集合を一つのコンピュータのように扱う方向にある。このコンピュータの集合が雲(インターネット)の向こうにあって、システムの構成などに気にせず利用できることを、クラウドコンピューティングと呼んでいる。詳しい説明はクラウドコンピューティング - Wikipediaの方が説明がうまい。

で、Daveさんの主張は、Cloud Computingの未来予想として、電力会社が電力のみを供給するのとは違い、Cloud Computingの提供者がその上で動くプロセス(アプリケーション)にも責任を持つから、これを比較してはいけないというもの。

確かに現状を見ればそうかもしれない。GoogleのコンピューティングはGoogleにしか使うことができない(一部を除き)し、Googleが考えたアプリケーションが優れているから、彼らにincomeがある。
しかし、Cloud Computingの行く末は、そんな小さなものではないと思う。

いずれは地球上にあるコンピュータが自律分散的につながり、個人がこの一部を利用できるようになると思う。そうすると、Cloud Computingの持ち主というのはいなくなり、個人や小企業が考えたアイデアをこの上で走らせるようになる。ただ、コンピュータリソースは無限ではないから、これを確保・調達する必要がでてくる。世界のどこかのアイドル状態のコンピュータがこの調達に応えてリソースを提供する。まさにコモディティとなるわけだ。石油を輸入するのと同様に、コンピュータリソースを調達する。ではGoogleのようなビッグプレイヤーはどこへいくのか。

このCloud Computingの世界の交通整理をするのである。コンピュータリソースを必要とする人へこれを届ける。このマーケットを監視しコントロールする。使った人から対価を調達し、リソースを提供した人に分け与える。需要と供給をプライスマッチさせる。このインフラを整えた者が、使用料・通行料を利用者から徴収する。最適化された社会では、インフラを提供する者が勝つのだ。

と気合いを入れて書いてみましたが、まあ、これがいったいいつ可能になるのか正直全くわかりません。コンピュータの下の方を知れば知るほど夢物語のようにも思えます。ただ、それはGoogle以前にGoogleを夢想したと仮定すれば同じ話。ありそうもないことが実現するのがこの世の中。