楽天テクノロジーカンファレンスに行ってきた

umitanuki2007-11-27

ご無沙汰しております。

もう5日ぐらい経ってしまったが、会社の人に連れられて楽天テクノロジーカンファレンスに行ってきた。

楽天っていい会社だね。
とオモテしまた。だってタダメシ食わしてくれるんだもん。ていうのは半分冗談で、残りの半分は技術研究所。まああれだってブランディングの要素がほとんどだって言ってるようなもんなんだけど(Buzzワードだらけだし)、自前でデータセンター持って、「さあ技術開発しましょう」と宣言するのはいいことだと思う。三木谷って人もおもしろそうだし。ほとんど笑わないけど。会社とか組織には、8割嘘でもきちんとビジョンを語る人が必要だってこと。楽天はどうやらStrategy×Technology×Operationでやってくらしい。Operationってところがいかにも日本的でほほえましい。三木谷に言わせればOperationのないところがGoogleの強みでありまた弱みであるらしい。まあそういうふうに「こうやってGoogleに勝ちます」みたいなことをきちんとしゃべれる人は日本のトップではなかなかいないのではないだろうか。思いつくところでは、竹中とか割とそういう発言する人ですね。

RomaとFairyとかいう大型分散システムを構築するらしくて、中にいたら面白そう。何でもGoogleのGFS、MapReduceAmazonのDynamoみたいに巨大分散システムを技研として立ち上げるんだとか。GFSについては早くもFuseFS(Mogileの間違い)とかオープンなものも出てきているし、MapReduceに関しては実はただの分散SQLというところまではわかったのだが、こないだまつもとゆきひろの日記で紹介されていたDynamoの論文を読んだらこれはP2Pをベースにした割と新しめの技術っぽい。Gossip Based Fail Toleranceとか、名前を聞いただけでも面白そうですね。

話は飛ぶけど、今Webにかじりついたら負けだと思う。Web2.0Expoとか今更な感じも否めないけど、まだまだWebのお仕事は死ぬほどあるし、Webの発展は2,3年続くのでしょう。でもどん詰まり感が最近とても否めないです。はてなの偉い人は「ネット上にオタクの世界を構築する」みたいなことを言っているみたいだけど、やっぱりネットから出て行かないといけないと、ここのところネットに肩までどっぷりと浸かっていて切に思うわけです。セカンドライフ上で大富豪になっても、やっぱりリアルでお金持ちにならないと満足感ってないわけで。そんなわけで、デバイスがこれからのキーワードだろうと勝手に予測してみるテスト。デバイスっていっても今までのように単体で存在するデバイスではなくて、あちら側とつながったデバイス。つまりこちら側とあちら側のインターフェイス。というかどこでもドア。現在までにあちら側への切符がWebブラウザの進化とGoogleによってほんのわずかにもたらされたわけですが、PCの前に何時間も座っている人なんて地球人口で見たら砂のかけらほどなので、やっぱり携帯電話とか家電とかDSとかそういうものであちら側を経由してこちら側のいろいろなところに行くのでしょう、と思うわけです。と書くととても平凡なユビキタス万歳論に聞こえてしまうのですが、そうではなくて、やっぱり目指すべきは攻殻機動隊の電脳みたいな世界なのだと思います。人が望むか否かにかかわらず。だから、GoogleAndroidを出したしAmazonは電子インクのリーダーを、AppleiPhoneを出すわけで、あと有力なのはNintendo DSね。要するにコンピュータとかネットとか言う前に紙の本が情報に直結すればよいわけで、だからWebというかネットから出て行かないといけないと思う。

そういう意味では今更巨大分散システムかよ、と思うのですが、そこも抑えているところがまた楽天のニクいところ。サードリアリティだって。言葉だけ聞くとよくわからないのですが、まあ上記のようなことを言っているように(少なくとも)俺には聞こえた。実際、テレビで楽天市場を楽しむデモとかあって、確かにテレビ番組で紹介された地方の銘菓をその場で注文できたりしたらよき団欒。テレビリモコンでは注文操作が奇天烈的にむずいので、ちゃんと商品詳細の画面には巨大なQRコードが表示されているのでした。

当日はRubyのまつもとさんが至近距離にいたのをはじめ、ミラクルリナックス吉岡さん(この二人はこないだも至近距離だったっけ)がいて、PHPの藤本さんともタバコを吸いながらちょこっとお話し、かの有名なtakesakoさんとも乾杯しちゃったりしてミーハーなわたくしはちょっと楽しかったのであります。yosuke氏に感謝。

今週のエコノミスト東洋経済は月曜の日経新聞と重なるようにしてサブプライム問題をでかでかと扱っていますが、もはや去りし日の詩。もちろんサブプライム問題の大舞台は08〜09年ごろなのでしょうが、それよりなにより最近とても気になるのは世界の多様化。ドルが弱くなるとか信用収縮とかいう小さな話ではなく、日本人がブラジル・レアル空売りしてロシア・ルーブルで貯金したり(しかもそれが郵便局でできるとか)、原油を買うのに30以上の通貨が選べたりするようになるのではなかろうか、と考えたりしている毎日です。そして西新宿で生活をしていると(都内や地方の他の地域でもそうなのかな)、日を追うごとに非日本人(アジア人)の侵食っぷりに目を見張らされます。松屋すき屋、コンビニなんてのは「り」とか「じょ」とかいう名札が当たり前ね。今日なんか会社につたない中国語訛りの日本語で営業電話掛かってきたもんね。白人と違ってあいつら群れても目立たないから、あっという間に東京をのっとりそうな予感です。
そんな2誌より、ASCIIのトップに元マイクロソフトの二大重鎮、古川亨と中島聡の写真を据えながら一番でかい文字は「FXをITで制す」という、おいおいASCIIもこれかよ、と苦笑いな週明けであります。二人の対談は非常に興味深く、「未来を作る」という姿勢で開発を続けてきたという話に感動。というか落胆。果たして今自分が作っているものは「未来を作」っているか??WindowsInternet Explorerという、時代を変えるソフトウェアを書いた、というのは他人の賞賛のみならず、達成感も想像を絶するのだろうなあ、と我が身の小ささを感じざるをえないのでした。